Photo Gallery of Atomization
豊橋技術科学大学機械工学系・鈴木孝司

液糸のアラベスク

層流液体噴流を噴出する円筒ノズルを斜め方向に加振すると、縦方向加振や横方向加振では見られない不思議なパターンが観察される。図の条件では噴出された液柱がまず、かぎ針を連ねたような形になり、唐草模様のような形に変形して、やがて様々な大きさの液滴へと規則的に分裂した。

液体はシリコン油#10、円筒ノズルの内径は0.9mm、断面平均の液体噴出速度は10m/s、ノズルの加振周波数は2000Hz、加振振幅は5μm、加振方向はノズルの軸に対して45°傾けた。

【日本液体微粒化学会第13回写真コンテスト(2013)特選】


液膜のモンロースカート

スワールアトマイザーから噴出した高粘性液体の中空円錐状液膜の挙動の瞬間写真。

高粘性液体の液膜も、通常の液体と同様にK-H不安定によりはためくように変動して分裂に至る。しかし、高粘性液体の液膜は通常液体よりも分裂しづらいため、液膜が長く大きく広がり、時折、風でスカートが捲れ上がるような挙動を示す。

不凍液ナイブライン(60wt%プロピレングリコール水溶液)を、Delavan社の灯油バーナー用ノズル60 A-0.85から大気雰囲気中に噴射して、パルスレーザーの透過光により撮影。

【日本液体微粒化学会第11回写真コンテスト(2011)特選】


液柱の分裂過程で見られる不思議なかたち

円管ノズルから鉛直下向きに流出したマイクロバブルを含む液柱の分裂過程(長距離顕微鏡により拡大して瞬間写真撮影)。

マイクロバブルを含む液柱は、その分裂過程において液体の集積部につながる液糸が十分に細くならないうちに千切れることがある。このため通常の液柱の分裂過程ではあまり見られないような不思議な界面形状がしばしば観察される。

ノズル内径は1.26mm,液体は10wt%エタノール水溶液,流量は100cc/min,流出レイノルズ数は1250。

【日本液体微粒化学会第10回写真コンテスト(2010)特選】


静電微粒化「液糸の七変化」

円管ノズルから液体をゆっくり流出させ、ノズルと対向電極の間に直流を印加して静電微粒化したところ。

流量が少ない場合は、ノズルの角から多数の細い液糸が流出する(a)。流量がやや多くなると液糸が大きく枝分かれしたり(b)、液糸表面から細かな液糸が流出したり(c)、液糸が激しくうねったり(d)、様々な分裂挙動を示すようになる。

液体はエタノール、流量Q、電圧E、ノズル・電極距離L、ノズル内/外径0.41/0.7mm。

【日本液体微粒化学会第7回写真コンテスト(2007)特選】


一様気流中における液滴列の分裂挙動

互い違いに2列に並んだ8つの液滴の一様気流中における分裂挙動(瞬間写真)

液滴同士の間隔が比較的大きいにもかかわらず、下流側の液滴は上流側の液滴とは異なる分裂挙動を呈している。

液体は水で、液滴径は2.5mm、列の間隔は液滴径の4倍、流れ方向の液滴間隔は液滴径の16倍である。

【日本液体微粒化学会第3回写真コンテスト(2003)特選】


過熱壁面に衝突した液滴の微粒化

直径2mmの水滴を過熱度150Kの黄銅製壁面に角度60゚,速度2.5m/sで衝突させたときの微粒化の様子。

【日本液体微粒化学会・微粒化写真展(2000)→学会誌表紙(2001)】


間欠水噴流の「イソギンチャク」

パルス状に加圧して水道水を円形噴孔から大気中に間欠噴射したところ。ストロボ光源の透過光による5枚の瞬間写真を現象の順に並べた。

圧力パルス発生には電磁式の振動ピストンポンプを用い,ピーク圧0.65MPa,半値幅1ms。ノズルは内径2.5mm。

圧力パルスにより大きな速度で噴出された水塊が前方の速度の遅い水柱に衝突して円錐状に広がりながら進み、この液膜が周囲空気の抵抗で巻き上がってイソギンチャクのような形を創りだした。


高速回転円盤端から流出する液膜

高速回転する平らな円盤の中央に供給した液体が、円盤上を膜状に流れてその端から流出する様子。

円盤の回転数Nが比較的低く、液体の流量Qが比較的少ない場合には、図(a)に示すように液体はほぼ等間隔の液糸となって流出する。液体の流量が多くなると、図(b)に示すように円盤端から平滑な薄い液膜が流出するようになる。しかし、円盤の回転数が速くなると、図(c)に示すように円盤状を流れる液膜の界面に不規則な乱れが観察されるようになり、液膜は流出直後に不規則に分裂するようになる。

パルスレーザーによる瞬間写真。円盤直径はD=20mm、液体はエタノール。


水中での液体金属の噴流の分裂挙動

液体金属ガリウム(融点が29.8℃)は、水に較べて表面張力が約10倍おおきいため、表面張力が関与する不安定現象が通常の液体よりも明瞭に観察される。

図は内径D=1.3mmのガラス製円管ノズルから40℃の水中にガリウムを噴出して、その分裂挙動を瞬間写真観察したもの。レイリーの液柱の不安定波動などが明瞭に観察される。

なお、金属表面の酸化を抑えるため、噴流と周囲の水との間に直流電圧をかけて雰囲気を制御している。


停滞する噴霧

筒内ガソリン直噴用のインジェクターにより生成された二つの扇形噴霧を衝突角120 で衝突させたところ。

衝突によって噴霧同士が強く干渉し、衝突点の下方にほぼ停滞した柱状の濃い噴霧が形成される。

ストロボ光源の透過光により撮影。噴射開始からの時間を変えて撮影した画像を並べたもの。


回転微粒化の造形

Vane-less Flat Diskの回転微粒化において、Disk上の液膜の不均一を利用して様々な図を描くことができる。

図は、液膜にらせん状の変動を与えることによって、風車のようなパターンを描いたところの瞬間写真。

試料液体はシリコンオイル#10、Disk直径は20mm、回転角速度は733rad/s、流量は0.33ccps。


長円形オリフィスからの液噴流による均一粒生成

1.3mm×0.15mmの長円形オリフィス(b)および同じ面積のφ0.48mm円形オリフィス(a)から鉛直下向きに噴出した液体噴流の分裂過程。

円形オリフィスからの液体噴流は、Rayleighの不安定性より噴流径の2倍程度の大きさの液滴へと分裂するが、余滴ができたり、時おり粗大な液滴ができたりする。

これに対して長円形オリフィスからの液噴流は、液体と共に移動する断面内での自由振動(円形断面への復元力による)によって、笹の葉様の細長い液膜を90 づつ面をずらして縦に連ねたような形となる。この液膜の縁の部分に発生・成長した変動(Rayleighの不安定性と考えられる)により、噴流はより規則的にやや小さな液滴へと分裂した。外力を必要としない均一粒生成技術として期待される。


上流流れの制御による4孔プレート型ノズルからの中空円錐状液膜噴流の噴射

4孔プレート型ノズル・インジェクターのノズルプレート(a)とバルブボディー(c)の間に矩形の穴をあけた薄板(b)を挿入して、噴孔上流の流れを制御することにより、大幅な微粒化促進が可能である。

バルブシートを通過した液体は一旦、ノズルプレート(a)とバルブボディー(c)に挟まれた扁平な空間に導かれ、各噴孔から中空円錐状の液膜として噴出され、激しく変動しながら速やかに分裂する。

〔参考:谷ほか, 特願2004-178224(燃料噴射弁)〕


2噴流の衝突による放射状液膜の分裂過程

2つの平滑液体噴流を正面衝突させ、形成された放射状の液膜流れの分裂過程を斜め方向から瞬間写真観察した。


並行気流中の液体噴流の分裂過程

一様気流中に気流と同じ向きに噴出された円筒状液体噴流がらせん状に激しく変動しながらの分裂する様子。


せん断気流中での液滴の分裂過程

2次元的な単純せん断気流中に液滴を滴下して、その分裂過程を瞬間写真観察した。複数回の観察の結果から液滴変形の進展に対応する写真を順に並べたて示した。


流れ方向に並んだ1対の液滴の崩壊過程

一様気流中に2つの液滴を流れ方向に並べて滴下して、それらの崩壊過程を瞬間写真観察したもの。

初期の段階では、上流側の液滴はバッグ状に変形して大きく膨らむものの、下流側の液滴は中央部がやや膨らむ程度である(写真(a), t は液滴が気流に曝されてからの経過時間)。しかし、上流側液滴のバッグが破れた瞬間、下流側液滴のバッグが一気に破裂して太いリムが残る(写真(b))。

液滴径d = 3.0 mm,初期液滴間隔と液滴径の比W/d = 6.7